楽天モバイル「最強プラン」は、なにが最強なのか?

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こんにちは、ジャミジ(@jamijinet)です。

楽天モバイルが5月12日に発表した「Rakuten最強プラン」を見ていると、いろいろと難しい状況だった楽天モバイルが挽回に向けて再始動してきた感じがしたので、料金プランについての考察をまとめてみました。

今回の発表で話題となったのは、KDDI(au)からローミングで提供されている「パートナー回線」の活用について。この発表に先立って新たなローミング協定を結んだとのことで、その内容を受けた新プランの発表となっています。言い換えれば、auから借りたプラチナバンドを楽天モバイルとしていかにうまく使っていくか、という話。

ローミング契約の内容がどういったものなのかは当然開示されないためわかりませんが、様々な状況をもとに、今回や今後の楽天モバイルの動向について考えてみました。(※一部推測も含む内容となっています)

パートナー回線(au回線)の活用

まずは最も大きな話題である、パートナー回線の今後の活用について。

楽天モバイルではいままで、自社エリアをとにかく早く拡大することで電波を繋がりやすくしユーザー体験を向上させ、かつ、パートナー回線の提供元であるKDDI(au)への費用支払いを削減することに注力してきていました。

特に基地局整備がある程度整った地域(具体的には人口カバー率が70%)では、パートナー回線の利用を停止するなどしていたため、携帯電話回線として最も重要といってもよい「どこでもつながる」が他社より明らかに劣っていました。せっかく契約してくれたお客さんも「やっぱり使えない」といって結局解約になってしまったり、その評判から新規顧客はなかなか獲得しづらく…といったことが状況だったと思われます。

今回この方針を大きく変更し、”都市部の繁華街や地下・屋内施設などでもパートナー回線を活用し、他大手3社と同等の繋がりやすさを確保していく”としたことで、楽天モバイルの「つながりにくい」という最大の不安要素が一気に払拭できることが期待されます

パートナー回線の5GB制限撤廃

パートナー回線を積極的に活用するのはよいとして、いままでのプラン(Rakuten Unlimit VII)では「パートナー回線で高速通信ができるのは5GBまで」という制約がありました(超過以降は最大1Mbpsの速度制限)。

今回の新プランでは、その容量制限も撤廃され「パートナー回線でも無制限で高速通信可能に。月間の通信量が多い人でもパートナー回線接続時の速度低下の恐れがなくなることで、「楽天回線・パートナー回線のどちらに接続されているかを気にせずに使用できるようになる」というのは、先に記載した地下などでの接続性の向上の話もあわせて、楽天モバイル最大のウィークポイントが解決される、という点でかなりインパクトのある話だと思います。

楽天モバイルがKDDIに支払う費用は大丈夫なのか?

ここで気になるのは、楽天モバイルからKDDIへの回線使用料の費用は大丈夫なのか?という点。これについて楽天モバイルの発表としては、”パートナー回線の活用で基地局の設備投資費用を当面抑えられる”とのことなので、結論としてはそのとおり”大丈夫”なんだと思われます。

その理由として推察できるのは、「新しいローミング契約ではかなりの価格調整があったと思われる」ことと、「すでにある程度(人口カバー率98%超)自社回線のエリア構築ができており、パートナー回線の利用割合が以前と比べて相当に低いと思われる」こと。

前者は、いままでのローミング契約では1GB500円というなかなかな費用だといわれていましたが、今回無制限での利用を開放するとなると、おそらくかなりのディスカウントや一定の費用上限設定があったり、もしくは大量のデータ通信がある場合においては速度制限があったりするなど、ある程度のキャップがあるような契約になっているのではないかと思われます。KDDI側としても、急速なローミング費用の縮小となるよりかは、楽天側に多少有利な内容としてでも4G回線の余裕資産を楽天に貸すことでキャッシュを得てその資金を5Gへの設備投資にあてていく、ということは理にかなっている気がします。

後者については、楽天モバイル側の見立てとして、自社エリアの拡大ができているところは概ね自社回線に接続されるので、パートナー回線へ接続される割合はかなり少ない、と見ているのではないかという点です。プラチナバンドを現状持たない楽天モバイルとしては、地下などでも満足な接続品質を担保できるエリア構築を早期に行うことは費用面からも実質不可能であり、プラチナバンド獲得までの期間はパートナー回線に当面頼るが、地上などのその他大半のエリアは自社回線で概ね賄えるため(すでに400万回線以上の大半をそれで運用できている実績もあるため)、サービスの負の部分を解消してまずはユーザー獲得を加速させていく=結果として収益改善につなげる、という方向に舵を切ったものだと思います。

ただもちろん、今後の契約者数や利用状況の推移によって状況は変わるかもしれませんが…

MNPワンストップサービスへの対応

もうひとつ大きなポイントとして、いままで面倒だったMNPでの申込手続きを、移行先となる楽天モバイル側のみの手続きで行えるようにする「MNPワンストップサービス」の提供を開始することも発表されました。

これは総務省主導でもともと5月下旬目処での各社への展開が準備されていたものですが、それへの対応をいち早く発表した形です。

いままでだと、電話番号そのままで他社回線から乗り換える場合に、現契約先でMNP番号を取得→新しい契約先でのMNP転入を行う、といった手順が必要でした。これでは単純に手間が多いほか、現契約先のキャリアにMNP番号の発行を申請すると、引き留め目的の割引クーポンが発行されるなど、なかなかスムーズな乗り換えが促進できなかったという問題がありました。

このワンストップサービスが導入されることで、そのような問題がある程度解消され、MNP乗り換えしやすくなる効果が期待できると思われます。(ユーザーとしても手間が減るので歓迎ですね)

その他の機能・サービス・特典など

そのほかには「Rakuten LINKのデスクトップ版の公開」などがありました。これは通話料無料で電話の発着信ができるアプリが、Windows PC/Macでも使えるようになるというもの。多くのユーザーにとってはあまり必要のない機能かとおもいますが、仕事で使ったり電話の使用頻度の高いユーザーにとって、PCから通話利用できるのは利便性が高まります。

海外でも2GBまでは無料で使用できる、は従来と変わらず。海外旅行時に現地空港等でSIMカードを購入する…などの必要なく、到着したらすぐスマホが使える、のは一度体験するとその便利さに感動します。競合の各社プランだとahamo以外はこういったサービスはついておらず(おそらく)、時々海外に行く機会のある人にはとてもメリットが大きいと思います。2GBを超えても1GB500円で追加できるのも料金的にお手頃です。

また、楽天市場でのポイント +3倍(※ダイヤモンド会員の場合)も変わらず。楽天市場で買い物する場合に、ポイント還元が増えるのは嬉しいですね。特に高額の家電製品や、ふるさと納税などにも適用されるのはかなり大きいです。

さらに、今回の発表よりも前からですが(しかもあまり知られていない気がしますが)、楽天モバイル契約者向けに、NBAやプロ野球パ・リーグの試合の無料視聴や、楽天マガジン・楽天ミュージックの割引特典が提供されています。個人的には、楽天マガジン30%OFF がとてもお得だと思っていて、年間プラン契約だと通常より約1,200円引きの 2,772円/1年で使うことができてしまいます。月で割ると 1ヶ月あたりわずか231円!対抗サービスのdマガジンと比べると半額近い料金で利用できるので、雑誌読み放題サービスを普段使っている方はこの特典も含めて乗り換え検討するのもアリかもしれません。

料金体系について

通信エリアの部分で大きな改善があったものの、料金そのものは完全に据え置きのままでした。つまり、3GBまで 980円、3GBから20GBまで 1,980円、それを超えたら容量無制限で 2,980円のまま。

またSNS等で一部期待された、中間容量(3-10GB程度)での料金の段階設定は今回設けられませんでした。個人的な推測では、これは当面は導入されないんじゃないかなと思われます。

たとえば10GBあたりでもう一段階の容量設定を作ってしまうと、3GB 980円を超えたユーザーの内、かなりの割合のユーザーがその新しい容量で収まってしまうと考えられます。(3GBじゃ足りないけど10GBは超えない、みたいな人は割と多いですよね)

現状だと3GBを超えると次は 20GB 1,980円の料金となりますが、これがたとえば10GB 1,480円などの料金設定を行った場合はその範囲で収まってしまう人が多く、全体的にみると1,980円のユーザーが減ってしまい相当な減収要因となりえます。そのため、まずは収益性を高めて黒字化に向かわせたい楽天モバイルとしては、細分化した料金体系は現時点では採用しづらいのではないかと考えられます。

ただ、MVNOからの乗り換え顧客を取るか、MNOから顧客をとるか、のどちらに重きを置くかでここの考えは変わってくると思われるので、将来的な導入については当然検討はしていると思います。楽天モバイルがプラチナバンドを獲得・運用を開始して、いざ本格的に攻勢を仕掛ける、となったときには、このあたりの容量ゾーンを突いたプランのアップデートが出てくる可能性はあるかもしれません。そうなると、また競合各社のプラン構成にも影響がありそうです。

まとめ = 楽天モバイルへの乗り換え検討は充分アリ!

長々と書いてみましたが、総合的に見て、MNO回線で 20GBまで使えて 1,980円 って、なかなかコスパすごいですよね。

一番の懸念だった通信エリアの心配がなくなったことが最も大きいですが、そのほかにも

  • 昼休みなどピーク時間帯でもMVNOみたいに著しく低速になることがない
  • 通話は発信無料で使える(Rakuten Link使用時)
  • 海外でもそのまま、無料で2GBまで使用可能(不足の場合は1GB 500円で追加可能)
  • 夏休みなど、たまに大容量使いたい月は +約1,000円で通信無制限に
  • 事務手数料は諸々0円(契約時などに余分な費用がかからない)
  • 契約期間の縛りがないので、解約も容易(やっぱり使えない! と思ったらすぐやめられる)

などのメリットがあり、加えて楽天系のサービス利用者であれば、楽天市場でのポイント還元 最大+3倍や、前述のとおりその他楽天サービスの特典などもあります。ahamoやUQ mobileなどのMNO他社のセカンドブランドだけでなく、MVNO各社のプランに対しても、料金・内容ともになかなか優位性のあるプランとなっているのではないでしょうか。

特に10〜20GBあたりの容量プランだと、料金だけみてもIIJ mio以外のMVNOより概ね安く、MVNOでありがちな昼休みなどピーク時の速度低下がないのは、楽天モバイルの強みといえそうで、このあたりのデータ使用量の方は楽天モバイルに乗り換えることで、料金を抑えるだけでなく使い勝手も向上するのではないかなとおもいます。

月間6〜8GBくらいの容量の場合でも、ポイント還元や付帯サービスなどを考慮すると、楽天モバイルのコスパの良さが目立ちます。特に楽天市場を日常的に使う方や、その他楽天系のサービスを使っている場合はメリットが大きくなると思います。

…こうやって考えるとなかなかいいところを突いてきた良いプランですね。「最強プラン」って言われても過言ではない気もしてきます。

基地局整備などの投資が楽天グループとして重荷になっており財務的に厳しい、などといったニュースもありいろいろ噂されたりしていますが、楽天モバイルの参入のおかげで他社の料金プランの見直しなどがあったことは事実だとおもいますし、もっと評価されて良いのではないかと個人的には思っています。今回の新プランの導入を皮切りに、プラチナバンドの取得も含め、楽天モバイル がこれからどういった形でユーザーや業界に対して存在感を出していくのか、今後の展開にも期待したいと思います。

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