【本の感想】「アカマイ―知られざるインターネットの巨人」を読んでみました

結構前(2014年)に出ている書籍ですが、「アカマイ―知られざるインターネットの巨人」 (角川EPUB選書) という本を読みました。なかなか良い本だったのでご紹介します。

Akamaiって、何?

Akamai(アカマイ)っていう会社、ご存知でしょうか?CEOが「誰も知らないインターネット上最大の会社」と自ら言ってしまうような会社ですので、一般の人はほとんどの人が知らないような会社です。でも実はほとんどの人はその恩恵を受けているのも知られていない…というような会社。基本的にはBtoBのビジネスで、インターネットのCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)を提供する世界最大手の会社です。

…知らない人からすると「Akamai?CDN?何のこっちゃ?」ですね…笑。(というか知らないような人はこの記事自体見てない気がしますが…)

「CDN」というのはすごくざっくり言うとインターネット上の通信を効率的に行うための仕組みです。大容量のデータ伝送を効率的に行えたり、大量のアクセスがあっても負荷分散が出来たり…など、いまのインターネットでは不可欠ともいえるサービスを、コンテンツを発信している企業やインターネットサービスプロバイダー(ISP)に対して提供する、というのがAkamaiという会社の行っているビジネスです。

僕は最近、というかここ1~2年、ちょこちょことAkamai絡みのことに触れる機会があり、基本的なことくらいは改めてきちんと理解しておこうということで目に付いたのがこの本です。そこまで詳しくない分野だったので書籍で知識を入れよう、と探したものの意外とAkamaiのことを書いている本って出てないんですね…この本しか見つからなかったです。というわけで、内容については事前に特に何も調べずにとりあえず読んでみました。

出版から少し時間が経ってますが…問題ありません

ITやインターネットの世界は新しいサービスや考え方が次から次へと出てきて、いま時点で最新の事柄もちょっと時間が経つともう陳腐化してたり…ということがよく起こりえます。なので読む本を選ぶときは基本的にはできるだけ「最近書かれた新しめの本」を選ぶほうがいいんですが、この本は(おそらく今後も当分は不変である)インターネットの基本的な概念や仕組み・構造の説明からAkamaiの解説へと組み立てている構成なので、その点は今のところは心配要らないかと思います。

ITに詳しくない人でも読み進めやすい

そして、そういったインターネットの基本的な仕組みの部分を非常に読みやすく平易な表現で書かれているのでとても理解が進みやすい。アカマイの理解だけでなく、インターネットのネットワークの理解、という意味でも良書だと言える気がします。一応この本は、IT技術者向けとしてではなく、ITのことを詳しくない一般の人向けとして書かれたそうなので、あまり知識のない人でも読み進められる、というのは出版の狙いどおりですね。実際に読んでみてすごく実感しました。

技術に詳しい人でもいろいろ参考になります

ITに詳しくない人でもわかりやすい、ということは裏を返せば、IT技術者などの詳しい人には物足りないんじゃないの?と思うかもしれません。が、個人的な印象では全然そんなことはありませんでした。技術的な説明に交えて、各事業者のお金の動きや商習慣も合わせて説明しているので、インターネットのネットワーク技術に比較的詳しい人でも非常に興味深い内容となっていて秀逸です。僕もAkamaiがビジネスとしてどうやってここまで拡大していったのかは全く知らなかったので、すごく参考になりました。

技術的な部分では、インターネットの成り立ちを触れながら、パケット・ルーター・ルーティング・IPアドレス・TCP・BGP・DNS(名前解決)などを理解させた後に、だからAkamai(のエッジサーバ)がこういう振る舞いをすることで負荷分散や通信の効率化を行えるのだ、と言う内容が非常に簡潔にまとめられています。簡潔にまとめている分、詳しいことや難しいことは大胆に省略されていますが、一般向け書籍と考えるとちょうどいいレベル感だと思うし、ITにある程度詳しい人から見ても、全体的な理解の整理や、技術的なことをこれだけわかりやすく解説するスキルはすごく参考になるかと思います。

インターネットの仕組みをざっと把握できる良書です

ダラダラと感想を書いてしまいましたが、そんな感じでインターネットのネットワークを構築している仕組みの基本となる部分を順序立てで解説を進めながら、いまのインターネットではもはや不可欠ともいえるAkamaiの具体的なサービス(CDNやSureRouteなど)の説明に繋げていく展開になっています。予備知識のない人にはわかりにくいAkamaiのサービスについて、ここまで理解しやすい説明をしているもの、他にはなかなか見当たらないんじゃないでしょうか。

ちなみに、著者は「Geekなぺーじ」の運営者としてその筋では有名な あきみち(小川晃通)さん。理解しやすい説明、さすがです。

『アカマイ 知られざるインターネットの巨人』を書きました:Geekなぺーじ

で、ここまで紹介しておいてなんですが、この本は出版されてから少し時間が経っているので、紙の本はもう新品では入手できなくなっているようです…ですが、Kindleやkoboなどから電子書籍が出ていて、ワンコイン以下で購入できる(2018年4月現在)ので、気になった方はぜひ読んでみてください。

Akamaiだけでなく、インターネットの仕組みを理解したい方にはかなりオススメですよ。